対応しているオーディオファイル形式

  • 対象となるLiveのバージョン: すべて
  • 対象となるOS: すべて

目次

概要

Liveは多種多様なオーディオファイル形式と分解能に対応しています。 オーディオファイル形式が対応しているにもかかわらず、読み込みや再生が行われない場合、オーディオファイル形式の種類ごとに原因を細かく調べる必要があります。 オーディオファイル形式がLiveで対応しているかどうかは、次の4つの特性で決まります。

  1. コーデック: 多くのオーディオファイル形式は、音声を入れる容器(コンテナフォーマット)のことを指します。そのため、ファイル拡張子を見るだけでは、容器に入った音声がどのようにエンコードされているかわかりません。 たとえば、WAVファイルに入った音声のエンコードには、非常に多くの圧縮方式と非圧縮方式があり、MP3としてエンコードされた音声を入れることも可能です。 MP4やOGGは、さまざまな方式の音声に加え、映像、メタデータ、字幕などもファイルに入れられるコンテナフォーマットです。
  2. 分解能: 一般的に、対応している分解能はオーディオファイル形式ごとに異なります。 オーディオファイルの分解能は、“サンプリング周波数”と“ビットデプス”(圧縮方式の場合は“kB/s”)という2種類のパラメータによって決まります。
  3. チャンネル数: ほとんどのオーディオファイル形式では、モノラル音声とステレオ音声だけでなく、マルチチャンネル音声(サラウンド音声)も含めることができます。
  4. その他: iTunesで購入したM4Aファイルなど、特定のオーディオファイルはDRM保護をかけられていることがあります。 DRMとは、著作権を保護する方式のひとつです。そのため、DRM保護のかかったファイルをLiveに読み込めないことがあります。Liveは、DRM保護のかかったファイルに対応していません。

対応しているオーディオファイル形式

通常、Liveは1~2チャンネルのオーディオファイルに対応しています。分解能では、ビットデプスが、8ビット、16ビット、24ビット、32ビットのいずれかになり、サンプリング周波数は最大で192kHzになります。 変換処理を行わずにLiveが読み込めるオーディオファイル形式は、WAVとAIFF(AIFF-C)のみです。 このふたつ以外のオーディオファイル形式は、読み込み時にWAVへ変換されます。 変換されたファイルは、Liveのデコードのキャッシュに保存されます。 デコードのキャッシュの保存場所については、本ページの 追加情報 を確認してください。

対応しているオーディオファイル形式は、大きくふたつのグループに分けられます。“最初から対応しているオーディオファイル形式”と、“外部のデコードを必要とするオーディオファイル形式”です。

最初から対応しているオーディオファイル形式

このグループへ分類されるオーディオファイル形式に必要なコーデックは、Liveに含まれています。そのため、追加のソフトウェアや外部のコーデックをインストールしたり、利用したりする必要はありません。 このグループに分類されるのは、WAV、AIFF、AIFF-C、FLAC、OGG Vorbisなどです。

WAV/WAVE(Waveform Audio File Format)
WAVは、MicrosoftとIBMによって開発されたオーディオファイル形式です。ビットストリーム方式であるRIFFのアプリケーションであり、PCM系オーディオファイルに属します。 Liveが対応しているのは、次のような非圧縮のWAVファイルです。

  • 8ビット、16ビット、24ビットの整数リトルエンディアン(pcm、 aflt、araw)。
  • 32ビット浮動小数点数リトルエンディアン。
  • MP3としてエンコードされた音声を含むWAVファイル(ファイル拡張子をwavからmp3へ変更すると、Liveで開くことがあります)。

AIFF(Audio Interchange File Format)
AIFFは、WAVにとてもよく似たオーディオファイル形式です。 Appleによって開発され、WAVと同じRIFF/PCM系オーディオファイルに属します。 Liveが対応しているのは、次のようなAIFFファイルとAIFF-Cファイルです。

  • 8ビット、16ビット、24ビットの整数ビッグエンディアンとリトルエンディアン(pcm、 twos、sowt、s8)。
  • 32ビット浮動小数点数ビッグエンディアン。
  • ファイル拡張子がaifcのAIFF-Cファイルは、ファイル拡張子をaifかaiffへ変更しないかぎり、読み込みできません。
  • ファイル拡張子がsndのAIFFファイルは、ファイル拡張子をaifかaiffへ変更しないかぎり、読み込みできません。

FLAC(Free Lossless Audio Codec)
FLACは、Xiph.Org Foundationによって開発された、可逆圧縮(ロスレス圧縮)の無償オーディオファイル形式です。 Liveは、16ビットと24ビットの分解能を持つFLACファイルに対応しています。

OGG Vorbis
OGGは、映像と音声のためのコンテナフォーマットであり、非可逆圧縮のVorbis音声を入れるコンテナフォーマットとしてもっとも一般的です。 OGGとVorbisは、いずれもXiph.Org Foundationによって開発されており、無償で利用できます。 OGGには、FLAC音声が含まれることもあります(OGG FLAC)。 現在、LiveはOGG FLACに対応していません。 Liveが対応しているのは、Vorbis音声を含むOGGファイル(OGG Vorbis)のみです。

外部のコーデックを必要とするオーディオファイル形式

MP3、MP4/M4A、AAC、ALACのオーディオファイル形式をLiveで使用するには、外部のコーデックが必要になります。

MP3(MPEG-1とMPEG-2 Audio Layer III)
MP3は、Fraunhofer Instituteによって開発された、非可逆圧縮のオーディオファイル形式です。

  • Windows:WindowsのLiveでMP3ファイルをエンコードするコーデックは、Windowsに付属しているDirectX、Apple QuickTime(32ビット版のLiveのみ)、もしくは、 サードパーティー製のコーデック です。
  • Mac:Macには、MP3ファイルに必要な外部のコーデックが付属しているため、最初から対応しているオーディオファイル形式のようにMP3ファイルを扱うことができます。

M4A/MP4
MP4は、映像と音声のためのコンテナフォーマットです。 M4Aは、MP4の音声限定版です。 MP4とM4Aに含まれる音声は、非可逆圧縮の AAC方式(Advanced Audio Coding) か可逆圧縮の ALAC方式(Apple Lossless Audio Codec) でエンコードされています。

  • Windows:M4Aは、Appleのオーディオファイル形式です。初期状態のWindowsでは対応していません。 WindowsのLiveでは、AppleのQuickTimeと組み合わせないかぎり、M4Aファイルを開けません。 【注意】AppleはQuick Timeのサポートを終了したため、利用できるのは32ビットのQuickTimeのみです。そのため、QuickTimeが動作するのは、32ビット版のLiveのみです。
  • Mac:Macには、M4AとMP4の両ファイル(AACとALAC)に必要な外部のコーデックが付属しているため、最初から対応しているオーディオファイル形式のようにM4AファイルとMP4ファイルを扱うことができます。 32ビット版のLiveでは、16ビット/44.1kHzのALACに対応しています。64ビット版のLiveでは、16ビット、20ビット、32ビットのALACに対応しています。
    【注意】 現在、24ビットのALACでエンコードされたファイルをインポートすると、Liveがクラッシュします。

追加情報

圧縮されたオーディオファイルのインポートに関するトラブルシューティングについては、 こちらのページ で確認することができます。

デコードのキャッシュが保存される場所

【Windows】C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Ableton\Cache\Cache\Decoding\

【Mac】Macintosh HD/Users/[username]/Library/Caches/Ableton/Cache/Decoding/

上記の場所は非表示になっている場合があります。 WindowsとMacで隠しフォルダにアクセスする方法については、 こちらのページ でさらに詳しく説明しています。

オーディオファイルのコーデックと分解能に関する詳細を調べる方法

VLCメディアプレーヤー
Windowsの場合
・オーディオファイルを開き、そのオーディオファイルが選択されていることを確認します。
・[ Ctrl + I ]キーを押します。
・[Codec Details]で詳細を確認します。
Macの場合
・オーディオファイルを開き、そのオーディオファイルが選択されていることを確認します。
・[ Cmd + I ]キーを押します。
・[Codec Details]で詳細を確認します。

iTunes
Windowsの場合
・オーディオファイルを開き、そのオーディオファイルが選択されていることを確認します。
・[ Ctrl + I ]キーを押します。
・[ファイル]で詳細を確認します。
Macの場合
・オーディオファイルを開き、そのオーディオファイルが選択されていることを確認します。
・[ Cmd + I ]キーを押します。
・[ファイル]で詳細を確認します。

QuickTime
Mac:オーディオファイルを開きます。[ Cmd + I ]キーを押します。

【注意】上記のアプリケーション3種類の操作テストで、オーディオファイル形式の情報(とりわけ、ビットデプス)が常に正しく解釈されないことが確認されています。 そのため、少なくとも2種類以上のアプリケーションでオーディオファイル形式の情報を確認することを推奨しています。

対応していないオーディオファイル特性

【注意】 未対応のオーディオファイルを変換したり、分割したりするには、無料で簡単に扱える Audacity の使用を推奨しています。

  • マルチチャンネルのオーディオファイル(マルチチャンネルのFLACファイルの読み込みは行えますが、フロント左チャンネルとフロント右チャンネルの音声だけが再生されます)。
  • 12ビット整数PCM。
  • 32ビット整数PCM。
  • PCM MU-LAW(mlaw)やPCM ALAW(alaw)でエンコードされたPCMファイル(WAVとAIFF)。
  • GSM Audio(gsm)やMicrosoft GSM Audio(agsm)でエンコードされたWAVファイル。
  • AIFF G.726 ADPCM Audio(g726)やIMA WAV ADPCM Audio(ms)などのADPCMでエンコードされたPCMファイル。
  • OGG FLAC(FLACが入ったOGG)。
  • スプリットステレオファイル:スプリットステレオファイルを扱う場合は、WAV、AIFF、もしくは、非分割のSDIIといったステレオ形式で保存してください。 スプリットオーディオファイルの各チャンネルを別々のトラックにドラッグして、そのトラックをパンポットを左右に振り分けることもできます。

【注意】 この一覧以外にも、未対応のオーディオファイル形式があります。 この一覧に含まれているのは、上述の“最初から対応しているオーディオファイル形式”のうち、オーディオファイル特性に対応していないもののみです。

Abletonでは、以下の学習リソースと詳細なヘルプが提供されています。: