[モニタリング時に低レイテンシー]に関するよくあるご質問

[ モニタリング時に低レイテンシー ]は、Ableton Live でモニタリング対象のトラックに対して ディレイ補正 をバイパスするオプションです。 つまり、セット内のすべてのトラックの同期を維持するためにLive によって追加された レイテンシー を、一時的にバイパスすることができます。

[モニタリング時に低レイテンシー]を使用する

[モニタリング時に低レイテンシー]のトラブルシューティング

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[モニタリング時に低レイテンシー]はどのような場合に便利ですか?
このオプションは、録音される信号をモニタリングしている際に、セットの他のトラックのデバイスによってレイテンシーが発生している場合に役立ちます。 たとえば、各トラックにさまざまなデバイスとプラグインが含まれる 8 つのトラックを含むセットの例を考えます。 MIDI コントローラー キーボードを使用して 9 番目のトラックにソフトウェアシンセを録音する際にコントローラーへの応答が著しく遅い場合は、このオプションを有効にして、キーを押してから音が聞こえるまでの遅れを短縮することができます。

このオプションで、モニタリング対象のトラックからレイテンシーが無くなりますか?
全トラックの同期を維持するためにセットの他の場所で発生しているレイテンシーに合わせてモニタリング対象のトラックに追加されるレイテンシーが、このオプションでは取り除かれます。 ただし、モニタリング対象のトラックのシグナルチェーン内で発生したレイテンシーはそのまま残ります。 これには、対象のトラック、 グループ トラック 、モニタリング対象のオーディオがルーティングされているトラック、および メイントラック 上のデバイスによって加算されるレイテンシーが含まれます。

リターン トラック のレイテンシーはバイパスされますが、モニタリング対象のトラックの信号が、レイテンシーが発生するデバイスが使用されているリターントラックを経由してルーティングされている場合、モニタリング対象のトラックからの信号とリターンからの信号は同期しません。 リターン トラックはモニター対象のトラックよりも遅れて出力されるため、ダブリングやエコー効果が発生します。

ディレイ補正とは何ですか?
Ableton純正デバイスとサードパーティ プラグインは、コンピューターが各デバイスのプロセスを処理するのにかかる時間の合計に基づいて、トラックにレイテンシーを追加する場合があります。 プラグインまたは Live デバイスのレイテンシーを表示する方法は こちらのページ をご覧ください。 レイテンシーの量はトラックごとに異なるため、補正を行わないとセット内のトラックは互いに同期して再生されません。 これを考慮して、 ディレイ補正 はすべてのトラックが同期して再生するのに必要な量だけセット内の各トラックを遅延させます。 たとえば、次の 3 つのトラックの構成を考えます。

トラック1 トラック2
  • モニタリングを[In]/[Auto]に設定
  • アームボタンがオン
トラック3
デバイスA + B インストゥルメントC デバイスD
レイテンシー 100ms レイテンシー 20ms レイテンシー 50ms

これらのトラックを同期して再生するには、トラック 2 と 3 を遅延させて、レイテンシーが最も長いトラック 1 と一致させる必要があります。 ディレイ補正を有効にすると、トラック 2 と 3 が調整され、すべてのトラックで 100 ミリ秒の遅延が発生します。

この例では、セットと一緒にモニターしながら録音するソフトウェア音源がトラック 2 にあります。 トラック 2 のオーディオはトラック 1 と揃うように遅延されるため、たとえば MIDI キーボードで演奏した音も、キーストロークよりも明らかに遅れて再生されることに気づくでしょう。

音が遅れて鳴ることなく楽器を演奏およびモニタリングするには[モニタリング時に低レイテンシー]を有効にして、トラック 2 に適用されていた遅延をバイパスします。 このオプションをオンにすると、トラック 2 は、そのトラックで使用されているデバイスおよびオーディオシグナルチェーン内の要素によって発生する遅延のみの状態で再生されます。

モニタリング対象トラックのシグナルチェーンで発生するレイテンシーは、レイテンシーが発生しているのが対象トラックか対象トラックのルーティング先のトラックかに関わらず、バイパスされないことに注意してください。 モニタリング対象トラックのシグナルチェーンには以下が含まれます:

  • グループトラック
  • モニタリング対象の信号がルーティングされている他のトラック
  • メイントラック (モニタリング対象トラックのオーディオがメイントラックにルーティングされている場合)

モニタリング対象トラックのディレイ補正を計算する際にはリターン トラックで発生したレイテンシーはバイパスされますが、これは、モニタリング対象トラックのオーディオと、リターン トラックを介して送信された信号が同期しなくなることを意味します。

このオプションを有効にした場合にバイパスされないディレイ補正はどれですか?

  • セットのすべての音声が メイン トラック を通して出力されていて、メイン トラックにルックアヘッドが設定されているリミッターやコンプレッサーなどのエフェクトが追加されている場合、レイテンシーはバイパスされません。
  • このオプションを使用しても、モニタリング対象トラックで使用されているデバイスによって発生するレイテンシーはバイパスされません。
  • グループ トラック や、モニタリング対象トラックから信号を受信する他のトラックで発生するレイテンシーはバイパスされません。たとえば、モニタリング対象トラックが、ルックアヘッドが設定されているコンプレッサーが使用されているトラックにルーティングされている場合、またはレイテンシーが発生するデバイスが使用されている他のトラックがモニタリング対象トラックから入力を受信している場合などです。

[モニタリング時に低レイテンシー]はいつ使用すればよいですか?
[モニタリング時に低レイテンシー]は、モニタリングが [In] または [Auto] に設定され、アームされたトラックのモニタリング時のみ適用されます。 セット内の他のトラックにレイテンシーが発生するデバイスが使用されていて、Live 内のトラックでハードウェア、楽器、またはマイクをモニタリングする場合に、このオプションを有効にするとよいでしょう。 ただし、以下の トラブルシューティングのヒント を確認して、状況に適しているかどうかを確認することをお勧めします。

このオプションは、トラックやシグナルチェーン内のオーディオ処理デバイスによって発生するレイテンシーを「修正」するものではありません。 コンピュータがオーディオ処理を行うには必ず時間がかかるため、録音中にレイテンシーが発生しないようにする最も効果的な方法は、録音後に処理を適用することです。

具体的には、ミキシングやマスタリング中に使用されるノイズリダクション、リニアフェーズ EQ、ピッチシフトなどの処理は、処理負荷が大きく、大きなレイテンシーが発生する可能性があります。 こうしたデバイスが、モニタリング対象トラック、グループ、リターン、またはメイン トラックのいずれかに存在する場合、この機能を使用してもそれらのレイテンシーはバイパスされません。 上記に当てはまる場合、これらのデバイスを一時的に削除したり、これらのプロセスを回避する録音用のテンプレートを使用して録音した後に、ミキシングまたはマスタリングに移行することができます。 このワークフローに従う場合、たとえばミキシングとマスタリングのプロセスがすでに行われているセットに新しくパートを録音する必要がある場合などに[モニタリング時に低レイテンシー]は回避策として役立ちます。

レイテンシーを軽減するための全般的なヒントについては、 こちらのページ をご覧ください。

[モニタリング時に低レイテンシー]を有効にするにはどうすればいいですか?
このオプションは、Live のオプション メニューで有効にできます。 デフォルトではオフになっており、設定はセット自体に保存されます。 新しいセットを作成する場合、このオプションは無効になります。

[モニタリング時に低レイテンシー]のトラブルシューティング

[モニタリング時に低レイテンシー]が有効になっているときに Push を使用するとクリック音が発生するのはなぜですか?
[モニタリング時に低レイテンシー]が有効な場合、モニターを「In」に設定したり、トラックの録音を有効にしたりすると、トラックのディレイ補正が突然変化するためにクリック音が発生する可能性があります。 Pushでは、選択したトラックのアームが自動的に有効になるため、これが特に顕著に表れます。 パフォーマンス中は、クリック音を避けるためにこのオプションを無効にすることをお勧めします。

オートメーションの設定されているトラックのサウンドが異なって聞こえるのはなぜですか?
録音された他のオーディオおよび MIDI トラックにレイテンシーが発生するプラグインが使用されている場合、このオプションを有効にすると、アームされたトラックに記録されているオートメーションは、他のトラックと同期せず再生されます。 そのため、再生される音が録音された音と異なる結果となります。

モニタリングしているトラックがセットの他のトラックと同期していないのはなぜですか?
[モニタリング時に低レイテンシー]を有効にすると、入力をモニタリングしているトラックのレイテンシーは最小限に抑えられますが、モニタリングしているトラックの通常のディレイ補正がバイパスされるため、セット内の他のトラックと同期していないように聞こえる場合があります。

Abletonでは、以下の学習リソースと詳細なヘルプが提供されています。: