マルチコアCPUの処理
- 対象となるLiveのバージョン:すべて
- 対象となるOS:すべて
目次
- マルチコア対応を有効にする
- スレッドとは何ですか?
- マルチスレッド
- ハイパースレッディング
- マルチコアプロセッサーのコアとスレッドを同時にいくつまで使用できますか?
- Liveのトラックごとに使用されるスレッドは、いくつですか?
- ひとつのトラックしか使っていないLiveセットでCPU負荷が高くなるのはなぜですか?
- CPUのクロック速度を速くする場合とコア数を多くする場合では、どちらのほうが恩恵を得られますか?
概要
マルチコアCPUとは、ふたつ以上のセクションを持つコンピュータプロセッサーです。
マルチコアCPUのチップは、セクションごとに個別のコンピュータであるかのように指示を実行しますが、 実際には複数のプロセッサーが、ひとつのチップ上に存在します。 ふたつの独立したマイクロプロセッサーを搭載したマルチコアCPUのことを、デュアルコアプロセッサーと呼びます。 4つの独立したマイクロプロセッサーを搭載したマルチコアCPUは、クアッドコアプロセッサーです。
マルチコアプロセッサーを使うと、複数の指示を効率的に同時処理できるため、シングルコアプロセッサーよりも高性能になります。 実質上、現行のコンピュータにはマルチコアプロセッサーが標準で搭載されています。
マルチコア対応を有効にする
マルチコアプロセッサーはLive 10やLive 11を実行するために必要であるため、最初から常に有効になっています。 Live 9はシングルコアプロセッサーのコンピュータでも動作しますが、性能が制限されます。 Live 9の環境設定画面のタブ[CPU]では、マルチコア対応の有効/無効を切り替えられます。
スレッドとは何ですか?
スレッドとは、CPUのひとつのコアによって処理される指示が並んだものです。 指示が複数のスレッドに分かれることで、マルチコアプロセッサーでの処理が可能になります。 通常、Liveのスレッドでは、オーディオクリップの再生、オーディオエフェクト、マスタートラックへの出力、という順番に構成されます。
マルチスレッド
マルチスレッドとは、アプリケーションやOSがマルチコアプロセッサーを使って処理を行う機能のことです。 Liveはマルチスレッドに対応しており、マルチスレッドを利用しています。
ハイパースレッディング
ハイパースレッディングとは、一部のプロセッサーに備わっている機能です。ハイパースレッディングは、プロセッサーのひとつのコアをさらに分割して、複数のスレッドを並行して処理できるようにします。 マルチコアプロセッサーを搭載しているコンピュータの場合、Liveでは最初からハイパースレッディングが有効になります。
シングルコアプロセッサーを搭載しているコンピュータでLive 9を使う場合、正しい順番でスレッドが処理されるように、ハイパースレッディングが自動で無効になります。
マルチコアプロセッサーのコアとスレッドを同時にいくつまで使用できますか?
MacとWindowsのいずれにおいても、Liveは音声処理用として最大64コアまで対応しています。 音声演算を処理するスレッドについても、Liveは64スレッドまで対応しています。
Liveのトラックごとに使用されるスレッドは、いくつですか?
Liveは、ひとつの音声信号を処理するのに、ひとつのスレッドを使用します。 ひとつの音声信号とは、ひとつながりになった音の流れのことです。 複数のチェーンを並行して鳴らしているインストゥルメント・ラックもしくはエフェクト・ラックをトラックで使用している場合、各チェーンのCPU負荷の大きさによって、Liveはチェーンごとにひとつのスレッドを使用する場合があります。 サイドチェーンを設定している場合などのように、ふたつのトラックがつながっている状態では、両トラックが独立していないトラックとみなされ、ひとつの音声信号として計上されます。 独立していない一連のトラックは、それぞれひとつのスレッドを使用します。
ひとつのトラックしか使っていないLiveセットでCPU負荷が高くなるのはなぜですか?
Liveでは、ひとつの音声信号ごとにひとつのスレッドを使用するため、CPU負荷の高いインストゥルメントにCPU負荷の高いエフェクトを数多くつなげている場合などは、ひとつのトラックしか使用していないLiveセットでも、CPU負荷が高くなる可能性があります。
CPUのクロック速度を速くする場合とコア数を多くする場合では、どちらのほうが恩恵を得られますか?
どちらも重要です。 予算に余裕がある場合は、可能な限り高速なプロセッサーと多数のコアを搭載することを推奨しています。
それぞれの組み合わせの長所と短所は、次のとおりです。
コア数は多いがクロック速度が遅い場合
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長所
- Liveはマルチスレッドに対応しているため、トラック数の多い大型のLiveセットで作業するときや、大規模なインストゥルメント・ラックやエフェクト・ラックで作業するときは、使用できるコア数が多いほど、効率的になります。
- 性能を低下させることなく、Liveと連動するアプリケーションを数多く実行できることがあります。
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短所
- クロック速度の速いCPUにくらべて、ひとつのスレッドの処理性能が劣ります。
コア数は少ないがクロック速度が速い場合
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長所
- ひとつのスレッドの処理性能が向上します。
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短所
- アプリケーション間で分割できるコアが少なくなります。
- マルチスレッドの処理性能が劣ります。