CPU負荷の軽減方法
- 対象となるLiveのバージョン:すべて
- 対象となるOS:すべて
LiveでCPU負荷が高くなると、音飛び、音割れ、グリッチが発生するほか、Liveの反応が遅くなる原因になります。 CPU負荷を可能なかぎり少なくするために、本ページではいくつかの方法を案内しています。
Live 11
Live 11では、CPU負荷メーターの性能が向上し、Liveセット全体でのCPU使用率を現在値と平均値で表示できるようになりました。
Live 10
Live 10のCPUロードメーターで示されるのは、実行中の音声処理に使われているCPUの量です。全体のCPU負荷ではありません。 現在発生している全体のCPU負荷を正確に測るには、アクティビティモニタ(Mac)/タスクマネージャー(Windows)を起動します。
- 音声とCPUにかかわるLiveの環境設定を最適化する
- CPU負荷の高いデバイスを最適化する
- オーディオファイルの設定を最適化する
- システムリソースを最適化する
- CPUスロットリングを減らす
- コンピュータのコンポーネントをアップグレードする
音声とCPUにかかわるLiveの環境設定を最適化する
1. サンプルレートを下げる
Liveの環境設定画面でタブ[Audio]を開きます。 サンプルレートを下げると、CPU使用率も下がります。 44100Hzや48000Hzに設定してみてください。 既存のプロジェクトで作業している途中にサンプルレートを変更するよりも、適切なサンプルレートに設定してから新しいプロジェクトを始めるほうが理想的です。
2. バッファサイズを大きくする
[バッファサイズ]では、2の累乗にあたる値(128、256、512、1024)に設定するのが理想的です。
【注意】バッファサイズを大きくするほど、音声のレイテンシーも大きくなります。
3. 入出力を無効にする
[入力設定]と[出力設定]をクリックします。 ステレオ入力を無効にできるほか、使用状況によっては、ステレオ入力と同じチャンネルのモノラル入力のペアを無効にすることもできます。
CPU負荷の高いデバイスを最適化する
お使いのデバイスやプラグインを処理するCPUを最適化するには、次のような方法があります。
1. Wavetable
2. Echo
3. CPU負荷の高いデバイスを含むトラックをフリーズ/リサンプリングする
トラックをフリーズすると、そのトラックの音声が一時的に書き出され、使用中の全デバイスが無効になります。 トラックを右クリックして[トラックをフリーズ]を選択します。 フリーズしたトラックを完全に音声へ変えたい場合は、ふたたびトラックを右クリックして[フラット化]を選択します。
あるトラックを別のトラックに音声として録音することを、リサンプリングと言います。 そうすることで、元のトラックで使っていたデバイスを無効にしたり、トラックそのものを削除したりすることができるようになります。
4. CPU負荷の高いエフェクトをリターントラックで使用する
これにより、同じエフェクトを複数のトラックにかけることができます。
5. ボイス数を減らす
デバイス、プラグイン、マルチサンプル・インストゥルメントのボイス数を減らします。 使用するボイス数を減らすほど、CPU使用率が少なくなります。
6. Spreadを無効にする
Corpus、Operator、Samplerなど、Liveの一部のデバイスには[Spread]というパラメータが備わっています。 このパラメータを使用すると、デチューンされたふたつの音がノートごとに出力されるため、2倍の処理が求められます。
7. Reverbのモードを“Eco”に設定する
Reverbの[Quality]では、リバーブのクオリティとコンピュータの性能のどちらを優先するかを設定できます。 [Quality]を"Eco"に設定するとCPUの使用量が最小になり、"High"に設定するともっとも豊かな響きのリバーブになります。
8. フィルター/LFO/エフェクトを無効にする
デバイス内で使用していないパラメータを無効にします。
9. 標準のフィルター回路を使用する
Cytomic製のフィルター回路(OSR/MS2/SMP/PRD)を使うと、CPUの使用率が若干上がります。
10. Simplerのワープを無効にする
もしくは、ワープモードを"Complex"か"Complex Pro"に設定します。
オーディオファイルの設定を最適化する
1. オーディオクリップのハイクオリティモードを無効にする
ハイクオリティモードでは、オーディオファイルを転送するときのサンプルレート変換が向上する代わりに、CPU負荷が高まります。ハイクオリティモードを無効にするには、オーディオクリップのクリップビューを開き、セクション"Sample"の[HiQ]ボタンをクリックします。
2. ワープ機能のモード“Complex”と“Complex Pro”を控えめに使用する
別のモードに設定するか、可能であればワープ機能を完全に無効にします。 それができない場合は、トラックをフリーズすることを検討してください。もしくは、使用しているクリップの結合やリサンプリングを検討します。
システムリソースを最適化する
お使いのコンピュータで別のプログラムが処理を行うと、Liveで使用できるCPUの量が減少することがあります。
1. 別のアプリケーションを終了する
お使いのコンピュータのCPUやRAMを大量に使用しているアプリケーションがあれば、そのアプリケーションを終了します。Macの場合、アクティビティモニタで確認できます。アクティビティモニタを起動するには、[Cmd + Space]キーを押してSpotlightを開き、"アクティビティモニタ"と入力します。Windowsの場合、タスクマネージャーで確認できます。タスクマネージャーを起動するには、タスクバーで右クリックして、コンテキストメニューから[タスクマネージャー]を選びます。
2. Wi-fi/Bluetooth/Webカメラを無効にする
Wi-fi、Bluetooth、WebカメラをLiveと同時に使うと、より多くのCPUを占有することがあります。
3. ディスク管理を行う
お使いのコンピュータのハードドライブをチェックして、十分に空きスペースがあることを確認します。 おおよその目安として、ハードドライブの全容量の10%を空きスペースとして確保してください。
4. WindowsがUSB機器を停止しないようにする
Windowsは、使用されていないと思われるUSBポートがあると、そのUSBポートを自動的に停止します。 USBタイプのオーディオインターフェースは常に接続されている必要があるため、USBポートの自動停止により、LiveのCPU負荷が急激に高くなることがあります。これを防ぐには、自動停止の機能を無効にします。 WindowsがUSB機器を停止しないようにする方法については、こちらのページを確認してください。
CPUのスロットリングを減らす
コンピュータの設定や使用方法によって、CPUのスロットリング(最大性能の低下)が生じることがあります。
1. ラップトップ・コンピュータを電源につなげたままにする
ラップトップが電源に接続されていないときに、LiveのようなCPU負荷の高いプログラムを使うと、CPUのスロットリングが生じることがあります。
2. 電源プランを“高パフォーマンス”に設定する(Windows)
Windowsでは、既定の電源プランを利用することができ、中にはCPUの使用効率に優れた電源プランがあります。 ただし、LiveのようにCPU負荷の高いプログラムを使用するときは、“高パフォーマンス”に設定することを推奨しています。
3. バッテリーの寿命を確認する
ラップトップ・コンピュータのバッテリーが古くなり効率が下がると、CPUの能力が抑制されることがあります。 必要に応じてバッテリーを交換してください。
4. ファンや通気口を掃除する
ファンや通気口にほこりや糸くずが詰まっていると、プロペラの回転が困難になり、コンピュータの冷却に長い時間が必要になります。 その結果、コンピュータの温度が上昇するほど、システムのリソースが減少し、サーマルスロットリング(熱暴走を回避するために、性能を低下させる機能)が作動します。 資格を持つ専門家にコンピュータのファンや通気口を年に1回清掃してもらうことを推奨しています。
5. コンピュータの通気が十分に行われているか確認する
コンピュータの周囲に、冷気が十分に流れているか確認してください。 ソファ、クッション、布地の上にコンピュータを置くと、通気口が塞がれることがあるので、置かないようにします。 コンピュータを暑い部屋で使用する場合は、外部ファンや空調を使って冷却しましょう。
コンピュータのコンポーネントをアップグレードする
Liveの性能の高さは、お使いのコンピュータの性能に限られます。 案内している必要動作環境は、Liveを動作させるのに最低限必要な動作環境ですので、予算の範囲内でもっとも高性能のコンピュータを購入するのが理想的です。 ただし、もっとも高性能のコンピュータを使っていても、使い方次第ではCPUの問題が発生することがあります。
コンピュータを上位機種へ買い換えられない場合でも、個別にコンポーネントをアップグレードすることで著しい改善を行えることがあります。 一部のコンピュータでは、個別にコンポーネントをアップグレードできません。お使いのコンピュータで個別にコンポーネントをアップグレードできる場合は、CPUのアップグレードやRAMの追加のほかに、ハードドライブをSSDに変更してみてください。